唾液は何のためにある?

ブログBlog

ブログの画像 受付 待合室

ブログ Blog

唾液は何のためにある?

歯科治療について

2025/08/28



こんにちは!

門戸厄神近くにある中津浜デンタルクリニック・こども矯正歯科です。

今日は私たちの口の中に、その中でも脇役と思われがちな唾液についてお話したいと思います


【健康の鍵は口の中に?】

唾液の驚くべき役割とは? 

私たちが日常生活で何気なく飲み込んでいる「唾液(だえき)」。一見、ただの「よだれ」のように思われがちですが、実はこの唾液には、私たちの健康や生活に深く関わる、驚くべき役割がたくさんあるのです。

 この記事では、「唾液の役割」についてわかりやすく解説していきます。

「食べる」「話す」「守る」といった日常のあらゆる行動において、唾液がどんな働きをしているのか、一緒に見ていきましょう。 


 ⚫️まず唾液とは何でしょうか?

 唾液は、主に3つの大きな唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺)と、無数の小唾液腺から分泌される体液です。

健康な成人であれば、1日に1〜1.5リットルもの唾液を分泌しています。これはペットボトル1本分以上にもなります。 

唾液の約99%は水分ですが、残りの1%にはさまざまな酵素や抗菌物質、ミネラルなどが含まれており、この“たった1%”が、とても多くの重要な働きをしているのです。


その1%には以下のような重要な成分が含まれています

・ 酵素(アミラーゼなど) 

・抗菌物質(リゾチーム、ラクトフェリン)

 • 電解質(ナトリウム、カリウムなど) 

・ 免疫グロブリン(IgA)

 • ムチン(粘液成分)

 これらの成分が相互に作用しながら、口腔内の健康を維持してくれているのです。


 ⚫️唾液があるとこんないいこと 

ここからは、歯科の視点で特に注目すべき唾液の作用をご紹介します。 


① 自浄作用(洗浄作用) 

唾液は、食後に残った食べかすや糖分を洗い流してくれます。 

特に流動性の高い「耳下腺唾液」がこの働きを担っており、歯の表面を物理的にきれいに保つ役割があります。 これにより、プラーク(歯垢)が付きにくくなり、虫歯や歯周病のリスクを減らします。


 ② 緩衝作用(中和作用) 

私たちが食事をすると、口の中は酸性に傾きます。とくに糖を含む食品を摂ると、細菌が酸を産生し、**歯の表面が溶け始める(脱灰)**のです。 

ここで活躍するのが唾液の「緩衝能」です。唾液中の重炭酸イオンなどが酸を中和し、口腔内のpHを中性に戻す働きをします。

これにより、再石灰化(エナメル質の修復)が促され、虫歯の進行を防ぎます。


 ③ 抗菌・免疫作用 

唾液には、以下のような抗菌・免疫成分が含まれています。

 • リゾチーム:細菌の細胞壁を分解

 • ラクトフェリン:細菌の増殖を抑制 

 • IgA(免疫グロブリンA):病原菌の付着を防止 

これらの成分により、口腔内の細菌バランスが保たれ、歯周病や感染症の予防につながります。とくに歯周病は細菌による慢性炎症であり、唾液の抗菌力がそのリスク低減に大きく貢献します。 


④ 潤滑・粘膜保護作用 

唾液に含まれるムチン(粘液成分)は、粘膜や歯の表面に保護膜をつくり、摩擦や刺激から守る働きがあります。 これにより、発音や咀嚼、嚥下(飲み込むこと)をスムーズに行うことができ、入れ歯や矯正装置を使っている方でも、快適な口腔内環境が保たれます。


 ⑤ 再石灰化作用 

食事や飲み物によって歯の表面が一時的に脱灰されると、唾液中のカルシウムやリン酸が**歯に再び取り込まれる(再石灰化)**ことで、エナメル質が修復されます。 この「再石灰化」は、虫歯の初期段階であれば自然に治る可能性があるという、口腔の自己修復機能を支えています。


 ⑥ 味覚や嚥下の補助 

唾液は、味覚を正常に感じるためにも重要です。味を感じるためには、食べ物の成分が水に溶ける必要があります。唾液はその“溶媒”の役割を果たし、食べ物の中の味物質を溶かしてを舌の味蕾(みらい)に届けやすくしているのです。

唾液が少なくなると、「味がしない」「薄く感じる」といった味覚障害を引き起こすこともあります。 また、飲み込みやすい食塊(しょっかい)を作ることで、誤嚥や食道トラブルの予防にも関与しています。


 ⑦ 話す、歌う、表情を作る  

唾液は、発声や会話といったコミュニケーションにも関係しています。口の中が乾燥していると、舌の動きが悪くなり、滑舌(かつぜつ)が悪くなります。

また、声を出すときも、適度な潤いがないと喉や口が乾き、声がかすれてしまうことがあります。 さらに、唇や頬、舌の動きは、表情や非言語コミュニケーションにも影響します。

つまり、唾液は「伝える力」や「感情表現」にも深く関わっているのです。


 ⑧身体全体の健康を守る 

唾液の働きは、口の中だけにとどまりません。 唾液によって口腔内の炎症や傷が治りやすくなり、細菌やウイルスの侵入を防ぐことで、免疫機能にも関与しています。

口は「体の入り口」と言われるように、唾液による防御がしっかりしていれば、全身の健康維持にもつながります。 また、唾液が不足すると、ドライマウス(口腔乾燥症)となり、食事がしにくいだけでなく、全身の栄養状態にも影響が出ることがあります。

特に高齢者では、唾液分泌量の低下が健康リスクとして注目されています。 


⚫️唾液の分泌が減るとどうなる? 

唾液の量が減少する状態を「ドライマウス(口腔乾燥症)」と呼びます。高齢者だけでなく、ストレスや薬の副作用でも起こります。

 唾液が少なくなると、以下のようなトラブルが増加します

 • 虫歯や歯周病の進行

 • 口臭の悪化 

 • 入れ歯の不適合や痛み 

 • 話しにくさ、飲み込みづらさ 

 • 味覚障害、口内炎の発生 

口腔環境の悪化は全身の健康にも影響するため、唾液の分泌量や質は歯科医療において非常に重要な指標となっています。 


⚫️唾液を増やすためにできることはなに?   

日常生活の中で、唾液の分泌を促進する方法を取り入れることで、口腔の健康を維持することができます。  

①よく噛む  

噛むことで唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促されます。硬めの食材やガムを使うのも効果的です。  


②こまめな水分補給   

脱水は唾液の分泌を妨げます。口が乾く前に、こまめに水やお茶で潤しましょう(カフェイン飲料は注意)。 


③唾液腺マッサージ   

耳下腺、顎下腺、舌下腺を指で優しくマッサージすると、唾液の分泌が促進されます。  


④舌・口周りの運動   

「パ・タ・カ・ラ体操」などで、舌や口唇の筋肉を動かすことも唾液の分泌に役立ちます。  


⑤お口の清潔を保つ   

プラークや細菌が多いと唾液の質が低下します。定期的な歯科受診で清潔な口腔を保ちましょう。


 ⸻ 


【まとめ】

唾液は“天然の歯医者さん” 

唾液は、私たちの口腔環境を守るために欠かせない存在です。私たちが当たり前のように感じている「食べる」「話す」「味わう」「守る」といった行動を、陰で支えてくれているのです。

歯や歯ぐき、舌、粘膜の健康維持、虫歯・歯周病予防、入れ歯の安定、さらには味覚や食事の楽しみにまで関与している「マルチな働き者」です。 日々の生活の中で、唾液の存在にもっと意識を向けてみてください。 口の中が乾いていると感じたら、それは体からのサインかもしれません。

唾液の働きを意識して、健康な毎日を送るための第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


中津浜デンタルクリニック・こども矯正歯科は、0歳の赤ちゃんからご高齢の方まで、幅広い世代の方のお口の健康サポートを出来るよう努めております

安心してお任せ下さい。

戻る